商談獲得は、多くの企業にとって売上を左右する重要な営業活動です。どれだけ優れた商品やサービスを提供していても、商談獲得の機会がなければ受注にはつながりません。
しかし、以下のような課題を抱える企業は少なくないでしょう。
- 商談数がなかなか増えない
- 問い合わせはあるのに商談につながらない
- 営業担当者によって成果に差がある
こうした状態が続くと、売上の伸び悩みや営業コストの増加、機会損失の発生、営業活動の属人化などにつながる可能性があります。そのため近年は、インサイドセールスの強化やBDR・SDRの活用、営業プロセスの標準化、AIや営業支援ツールの導入を通じて、商談獲得数の向上に取り組む企業が増えています。
本記事では、商談獲得の基本的な考え方から、商談数が増えない原因、改善方法、注目されているAI活用まで詳しく解説します。
商談獲得とは
商談獲得とは、見込み顧客との商談機会を創出することを指します。営業活動においては、以下の流れで進みます。
- 見込み顧客の発見
- アプローチ
- 商談獲得
- 提案
- 受注
つまり商談獲得は、営業プロセスにおける重要な中間地点であり、売上につながる入口とも言える存在です。どれだけ多くのリードを獲得しても、商談につながらなければ受注は生まれません。そのため、多くの企業が商談獲得数や商談化率を重要な営業指標として管理しています。
商談化との違い
商談獲得と似た言葉に「商談化」があります。商談化とは、見込み顧客が実際の商談フェーズへ進むことを意味します。一方で商談獲得は、営業活動によって商談機会そのものを創出することを指します。例えば、以下のような活動が商談獲得に該当します。
- 問い合わせから商談につながる
- テレアポで商談を設定する
- 展示会で獲得したリードから商談を創出する
商談化率を高めることは商談獲得数の増加にもつながるため、両者は密接に関係しています。

※商談化率について詳しく知りたい方はこちら
商談獲得が重要な理由
営業活動において、売上は以下の式で考えられます。
売上 = 商談数 × 受注率 × 平均単価
つまり、商談数が増えなければ受注数も増えません。多くの企業では、リード獲得・商談獲得・受注のいずれかがボトルネックになっています。特に近年は、問い合わせ数やリード数よりも「商談獲得」が課題になっている企業が増えています。問い合わせは来ているのに対応が遅れる、フォローができていない、担当者によって成果が異なるといった理由で商談機会を逃しているケースも少なくありません。そのため、営業成果を向上させるためには、商談獲得数を継続的に改善することが重要です。
商談獲得数が増えない原因
商談獲得数を増やそうとしても、思うような成果が出ない企業は少なくありません。
営業担当者の努力不足が原因だと思われがちですが、実際には営業プロセスそのものに課題があるケースも多くあります。
商談獲得数を改善するためには、まずどこにボトルネックがあるのかを把握することが重要です。
ここでは、多くの企業で見られる代表的な原因を紹介します。
リード数が不足している
商談を獲得するためには、まず見込み顧客との接点が必要です。問い合わせ数が少ない、資料請求が増えない、展示会やウェビナーの集客が不足しているといった状態では、商談数も増えにくくなります。どれだけ商談化率が高くても、母数となるリード数が不足していれば成果には限界があります。以下のような施策を活用し、見込み顧客との接点を継続的に増やすことが重要です。
- コンテンツマーケティング
- Web広告
- SEO
- ウェビナー
- 展示会
問い合わせ対応が遅れている
商談機会を逃す原因として特に多いのが、問い合わせ対応の遅れです。問い合わせや資料請求を行った顧客は、その瞬間が最も興味関心の高い状態にあります。
しかし実際には、営業担当者の不在や問い合わせの集中、対応体制の不備などの理由で対応が遅れるケースも少なくありません。顧客は複数社を比較検討していることも多いため、対応が遅れると競合他社へ流れてしまう可能性があります。商談獲得数を増やすためには、問い合わせ直後に対応できる体制づくりが重要です。
※問い合わせ対応について詳しく知りたい方はこちら
※問い合わせ対応の効率化についてはこちら
商談化率が低い
リード数は十分にあるにもかかわらず、商談獲得数が増えない場合は商談化率に課題がある可能性があります。
例リード数は十分にあるにもかかわらず商談獲得数が増えない場合は、商談化率に課題がある可能性があります。具体的には以下のような状況です。
- ターゲットが明確でない
- ヒアリングが不十分
- 顧客課題を捉えられていない
- フォローアップが不足している
商談化率が低い状態では、多くのリードを獲得しても成果につながりにくくなります。ターゲット設計やスクリプト改善、フォロー体制の見直しなどを通じて、商談化率そのものを改善することが重要です。
※商談化率について詳しく知りたい方はこちら
営業活動が属人化している
商談獲得数が安定しない企業では、営業活動が特定の担当者に依存しているケースも少なくありません。
トップ営業だけ成果が出ている、担当者によって商談獲得数が大きく異なる、ノウハウが共有されていないといった状態です。属人化が進むと、営業品質のばらつきや育成コストの増加、人材離職時のリスクなどが発生します。
継続的に商談獲得数を増やすためには、個人の能力に依存するのではなく、組織として成果を再現できる仕組みづくりが重要です。
※商談数を増やす方法について詳しく知りたい方はこちら
商談獲得数を増やす方法
商談獲得数を増やすためには、単に営業活動の量を増やすだけでは十分ではありません。適切なターゲットへ、適切なタイミングで、適切な方法でアプローチすることが重要です。ここでは、多くの企業で実践されている代表的な改善方法を紹介します。
BDRを活用する
BDR(Business Development Representative)は、アウトバウンド営業や市場調査などを通じて新たな見込み顧客を発掘し、商談機会を創出する役割を担います。*1
テレアポやフォーム営業、メール営業、SNS活用などを通じて新規顧客へアプローチします。特にエンタープライズ企業や特定業界への開拓、新規市場開拓などでは有効な手法です。ターゲットを明確に設定できるため質の高い商談を獲得しやすく、限られた営業リソースで効率よく新規開拓を行う手法として、多くの企業で活用されています。
SDRを活用する
SDR(Sales Development Representative)は、問い合わせや資料請求などで獲得した見込み顧客に対してアプローチを行い、商談化を推進する役割を担います。*2
近年はSEOやWeb広告、ウェビナー、ホワイトペーパーなどでリードを獲得する企業が増えています。しかし、リードを獲得するだけでは売上にはつながりません。適切なタイミングで接触し商談へつなげることが重要であり、問い合わせ直後の対応スピードやフォロー体制が商談獲得数に大きく影響します。そのため、リード獲得だけでなくSDR体制の構築や運用改善も欠かせません。
参考文献
*1 HubSpot「BDR(Business Development Representative)とは」
*2 HubSpot「SDR(Sales Development Representative)とは」
問い合わせ直後に対応する
商談獲得数を増やす上で最も効果が大きい施策の一つが、対応速度の改善です。問い合わせや資料請求を行った顧客は、その瞬間が最も興味関心の高い状態にあります。しかし実際には、営業担当者が商談中だったり営業時間外だったりする理由で、初回接触が数時間〜数日後になるケースもあります。対応が遅れるほど顧客の関心は低下し、競合他社へ流れてしまう可能性も高まります。そのため、以下のような仕組みを整えることが重要です。
- 自動通知
- 即時架電
- SDR体制の構築
ナーチャリングを実施する
すべてのリードが、すぐに商談につながるわけではありません。情報収集中や比較検討前、予算未確定といった見込み顧客も多く存在します。
そのため、メールマーケティングやウェビナー、コンテンツ配信、定期フォローなどを通じて関係性を維持し、検討度を高める活動が重要になります。この取り組みをリードナーチャリングと呼びます。商談獲得数を安定的に増やすためには、今すぐ客だけでなく将来客も育成する視点が欠かせません。
営業プロセスを標準化する
商談獲得数が安定しない企業では、営業活動が属人化しているケースも少なくありません。トップ営業だけ成果が出る、担当者ごとにアプローチ方法が異なる、ヒアリング内容がバラバラといった状態では、組織全体として成果を再現することが難しくなります。以下のような取り組みで営業活動を標準化することが重要です。
- スクリプト整備
- ヒアリング項目の統一
- KPI管理
- 営業プロセスの可視化
AIを活用する
近年、商談獲得数を増やす方法として注目されているのがAI活用です。従来は営業担当者が行っていた業務の一部をAIが担うことで、対応速度の向上や商談機会の取りこぼし防止、営業工数の削減などを実現できるようになっています。
AIチャットボットやAI電話対応、AIエージェントなどを活用する企業も増えており、人手不足が進む中でAIを活用しながら商談獲得プロセスを最適化する動きが広がっています。
商談獲得で重要なKPI
商談獲得数を増やしたいと考えたとき、「商談数」だけを追いかけてしまいがちです。
しかし実際には、リード数が不足しているのか、商談化率が低いのか、受注率が低いのかによって、取るべき改善施策は大きく異なります。関連するKPIを正しく把握することが、商談獲得改善の前提となります。
リード数
リード数とは、見込み顧客の数を指します。問い合わせや資料請求、ウェビナー申込、展示会名刺獲得などが該当します。商談数はリード数に大きく左右されるため、母数となるリードが不足している場合は商談数も増えません。
SEOやWeb広告、コンテンツマーケティング、ウェビナーなどを通じて継続的にリードを獲得することが重要です。
商談化率
商談化率とは、獲得したリードのうち何%が商談につながったかを示す指標です。
計算式は以下の通りです。
商談化率(%)= 商談数 ÷ リード数 × 100
例えばリード数100件・商談数20件の場合、商談化率は20%となります。リード数が十分にあっても商談化率が低ければ商談獲得数は増えません。以下のような改善が有効です。
- 問い合わせ対応の迅速化
- ヒアリング品質の向上
- フォロー体制の強化
※詳しくはこちら
商談獲得数
商談獲得数は、実際に創出できた商談件数を指します。多くの営業組織では、月間商談数や営業担当者ごとの商談数、商談チャネル別商談数などを管理しています。ただし、商談獲得数だけを追いかけると質の低い商談が増える場合もあります。「商談数」だけでなく「受注につながる商談か」という視点も重要です。
受注率
受注率とは、商談のうち実際に受注へ至った割合を指します。
計算式は以下の通りです。
受注率(%)= 受注数 ÷ 商談数 × 100
受注率とは、商談のうち実際に受注へ至った割合を指します。計算式は以下の通りです。
受注率(%)= 受注数 ÷ 商談数 × 100
例えば商談数20件・受注数4件の場合、受注率は20%です。受注率が高い場合は商談の質が高い可能性があります。一方で商談数は多いのに受注が増えない場合は、ターゲット設定や商談品質に課題があるかもしれません。商談獲得数だけでなく、受注率まで含めて確認することが重要です。

商談獲得で注目されるAI活用
近年、商談獲得数を増やす方法としてAI活用が急速に広がっています。従来は営業担当者が行っていた業務の多くをAIが支援できるようになり、対応スピードの向上や商談機会の取りこぼし防止、営業工数の削減、営業品質の標準化などを実現できるようになりました。
特に人手不足や営業組織の属人化に課題を抱える企業では、AIを活用した営業改革への関心が高まっています。ここでは代表的な活用方法を紹介します。
AIチャットボット
AI活用の中でも比較的導入が進んでいるのがAIチャットボットです。Webサイト上で顧客からの質問に自動で回答する仕組みで、以下のような対応を24時間365日実施できます。
- 料金に関する質問
- サービス内容の確認
- 資料請求対応
- よくある質問への回答
近年は生成AIの進化によって定型回答だけでなく自然な会話も可能になっており、問い合わせ対応の効率化や営業担当者の負担軽減、顧客満足度向上につながるケースが増えています。
AIエージェント
近年特に注目されているのがAIエージェントです。単純な質問応答だけでなく、目的達成に向けて自律的に行動するAIで、顧客情報の確認や問い合わせ内容の分析、適切な情報提供、次のアクション提案などを実行できます。
従来のチャットボットが「回答するAI」だったのに対し、AIエージェントは「業務を進めるAI」と言えるでしょう。今後は営業活動やカスタマーサクセス領域でも活用が広がると考えられています。
AI商談という新しい選択肢
近年は、問い合わせ対応や情報提供だけでなく、商談そのものをAIが担う取り組みも始まっています。その代表例がAI商談です。従来の営業活動では、以下の流れが一般的でした。
- 問い合わせ
- 営業担当者が連絡
- 日程調整
- 商談実施
しかし実際には、担当者の不在や営業時間外、対応の遅れなどの理由で商談機会を逃してしまうケースも少なくありません。一方でAI商談であれば、問い合わせ後にAIが一次商談を実施し、必要に応じて人間へ接続するという流れを実現できます。

AI商談が注目される理由
問い合わせや資料請求を行った顧客は、その瞬間が最も興味関心の高い状態にあります。しかし実際には、数時間後・翌営業日・数日後に連絡が行われるケースもあり、その間に顧客の関心が低下したり競合他社へ流れたりすることも少なくありません。
AI商談は24時間365日対応できるため、即時ヒアリングやサービス説明、質問対応、一次商談をリアルタイムで実施できます。その結果、商談機会の取りこぼし防止や営業担当者の負担軽減、商談獲得数の向上につながる可能性があります。
AIと人間営業の役割分担
AIが進化しているとはいえ、すべての営業活動を代替できるわけではありません。特に以下のような領域は、人間の役割が依然として重要です。
- 複雑な課題整理
- 提案設計
- 意思決定支援
- クロージング
そのため近年は、「AIか人間か」ではなく「AIと人間をどう組み合わせるか」という考え方が主流になりつつあります。AIが質の高い一次商談や情報収集を担当し、人間が複雑な課題整理や提案・クロージングを担当する。そのような役割分担によって、営業生産性と顧客体験の両立を目指す企業が増えています。
商談獲得数を増やすためのポイントまとめ
商談獲得は、営業活動において売上を左右する重要なプロセスです。どれだけ多くのリードを獲得しても、商談につながらなければ受注には結びつきません。リード不足や問い合わせ対応の遅れ、商談化率の低下、営業活動の属人化などによって商談機会を十分に創出できていない企業も少なくありません。
商談獲得数を増やすためには、以下のような施策を組み合わせながら、自社に合った仕組みを構築することが重要です。
- BDRやSDRの活用
- 問い合わせ対応の改善
- リードナーチャリングの実施
- 営業プロセスの標準化
- AI活用
特に近年は、AIチャットボットやAIエージェントに加え、AIが一次商談を担う「AI商談」も登場しています。重要なのは、AIで営業担当者を置き換えることではありません。AIが一次商談や情報収集を担い、人間が複雑な提案やクロージングを担当することで、営業組織全体の生産性を高めることです。まずは自社の営業プロセスを見直し、どこに商談獲得のボトルネックがあるのかを整理することから始めてみましょう。
商談獲得について詳しく知りたい方へ
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