目次
はじめに
営業がうまくいかない原因の7割は、リストの段階で決まっていると言っても過言ではありません。実際、リストの“質”が変わるだけでアポ獲得率が0.3%から2.0%(約6.7倍)に改善した事例も存在します 。
本記事では、成果の出るリスト作成術を、BtoB営業の現場で培われた知見とデータをもとに体系的にまとめました。BtoB営業・新規開拓に携わるすべての方に役立つ実践的な知見を紹介します。
営業成果の7割はリストで決まる
営業活動は「誰に」「どんな内容で」「どのタイミングで」アプローチするかで決まります 。つまり、営業のスタート地点であるリストがズレていれば、その後どれだけトーク力を磨いても成果は出にくいのです 。
たとえば、よくある悩みとして:
- リスト件数は揃っているのにアポが取れない
- マーケティングリードと営業リストが噛み合わない
- 数を回しても成果が出ない
これらの根本原因は「リストの量ではなく質が合っていない」ことにあります 。
成果を出すリストとは
成果を出すリストは、単なる会社一覧ではありません 。以下のような構造を持っています。
- ニーズの特定: 何を必要としているか
- 組織構造と予算感: 誰が意思決定するか
- 意思決定フェーズ: 検討初期か、導入直前か
リスト作成時にこの3点を意識するだけで、営業テーマとトーク設計が連動し、成果率が劇的に変わります。
【重要】リスト作成時点で営業戦略の70%が決まっている
リストは単独では機能しません 。
どのターゲットに、どんな訴求で、どのフェーズの話をするかが決まって初めて、効果的なトークスクリプトが完成します 。
ターゲット選定の鉄則:業界×規模×役職
成果の出るリスト設計には、「誰に」アプローチするかを正しく定義することが欠かせません 。以下の3軸でターゲットを設計します。
リストは「広く取るほど安価に」「絞るほど効果に」なりますが 、絞るほど刺さるメッセージを届けられるため、結果的に受注率が上がるのです 。
「お客様はサービスを求めているのではなく、“課題の解決”を求めている」
この意識を持つことで、訴求軸がサービス紹介から“課題解決型”にシフトします。
行動トリガーを活用したリスト構築
リスト精度を高める上で重要な視点が、「行動トリガー情報」です 。企業の動き(採用活動・補助金採択・拠点拡大など)をトリガーにリストを作成すると、購買フェーズを先読みできます 。
代表的な「課題ドリブン」と行動トリガー例
- 課題ドリブン: 単純な業種分類ではなく、人材不足を抱える業種 やSaaS導入率が高い業種 など、営業課題が顕在化している業種で絞り込む手法 。アポ率は平均の2〜10倍に向上します 。
- 代表的な行動トリガー例:
- 求人媒体に求人掲載(=人手不足)
- 補助金採択企業(=投資フェーズ)
- 新拠点開設・事業拡大(=システム・人材需要増)
特に「小規模事業者持続化補助金」の採択企業リストは有効です 。この補助金申請企業は「経営課題が顕在化している企業」であり 、具体的な課題解決提案が可能になります。
成功事例:リスト精度がアポ率を6倍に引き上げた
リスト精度を高める上で重要な視点が、「行動トリガー情報」です 。企業の動き(採用活動・補助金採択・拠点拡大など)をトリガーにリストを作成すると、購買フェーズを先読みできます 。
システム開発会社A社の事例
一般的な「システム開発」の訴求で広範な業界にアプローチしていたA社は、当初アポ率が0.3%でした 。
改善のポイント:
- ターゲットを特定の業界に絞り込む 。
- 「工数不足」企業を特定し、IT人材不足・開発遅延に悩む企業を優先的にリスト化。
- 優先ターゲットをマクロ環境要因(業界トレンド)から選定 。
結果: アポ獲得率が2.0%まで向上(約6.7倍改善) 。
人材サービス企業B社の事例
業界を問わず幅広くアプローチしていたB社は、アポ獲得率が0.3%でした 。
改善のポイント:
- 「今、採用活動を活発に行っている企業」という行動トリガー情報に基づきリストを再構築 。
- 行動トリガー × 企業属性の掛け合わせでリスト精度を最大化 。
結果: アポ獲得率が3.2%まで向上し、業界平均の約2倍を達成しました 。
このように「行動情報(トリガー) × 企業属性(業種・規模)」の組み合わせが、高いアポ獲得率と商談成約率を実現する鍵となります 。
リスト設計チェックリスト
すぐに使える「成果の出るリスト設計」のチェック項目です 。
- 営業テーマとターゲット像が明確か
- 業界・規模・役職の3軸が定義されているか
- 行動トリガーを設定しているか
- タイミング別の訴求メッセージを用意しているか
- 成功事例・第三者事例を盛り込んでいるか
これらを整理して初めて、“再現性のあるリスト戦略”が完成します 。
まとめ:営業リストは戦略資産である
- リストの質が営業成果の7割を決める 。
- ターゲットは業界 × 規模 × 役職で定義する 。
- 行動トリガーを取り入れることで購買フェーズを特定できる 。
- テーマ × リスト × トークをセットで設計する 。
営業活動の出発点であるリストを“資産”として捉え、戦略的に構築することが、成果を最大化する第一歩です。